[海外旅行-05] USA - Las Vegas & Grand Circle その8

アメリカの国立公園では、軽装でトレイルを歩く人が多い、という話の続きを。
3つ目の理由として、これが最も根本的なのだと思うのだけど、アメリカは自己責任の社会であるということが大きい。

日本にもアメリカにも、自然環境の中で危険な場所は沢山ある。
日本では、事故を防ぐために、危険な場所に人を入れないことが、その場所の管理者の義務とされる。
お節介なくらいに警告し、又は立入禁止の措置を講じないと、事故が発生したときに割と厳しく管理責任を問われる。
だから、険しい自然や奥深い自然は、入口の敷居が高くなる。相応の覚悟がある者だけが、足を踏み入れる。

対して、アメリカは危険な箇所があれば警告くらいはするけれど、人を追い返すようなことはまずない。
法的には日本と同じような管理者責任があるようだけど、まともに機能しているとは思えない。
遭難事故や滑落事故がしばしば発生するような場所でも、閉鎖されたり改良されたりすることは少ない。
「行きたければどうぞ。頑張ってね。」というノリだから、あまり来る者に警戒心を抱かせない。
その結果、とんでもない山道を、近所の散歩の気分で歩き出す者が、後を絶たない。



Grand Canyon国立公園を出て、東の方へと向かう道の途中、いくつか園外にも展望台がある。
園内と比べると少々地味だけれど、折角なのでこれらも拾っていく。
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園内でもよく見たような、深く抉れた川のない谷。
雨が降ると水が流れて、Colorado川に注ぐ枝沢になるのだろう。
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展望台には人が訪れるだろうから商機があると見て、いずれかの先住民と思しき人々が民芸品の露店を並べる。
残念ながら、売る人々に活気がなく、似たような物ばかりなので訪れる側の反応も今一つ。
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近付かないと窪みの存在に気が付かないくらい、谷の周囲は平らな荒野が広がっている。
なぜごく一部だけが極端に深く削られて、他は平らなまま残っているのか、今も不思議でならない。
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Grand Canyon国立公園の東口から約2時間、Colorado川の上流にあるPageという街へと北上。
再び、ほとんど何もないArizona州の荒野を延々とドライブ。途中、結構眠くなった。

Pageは、Colorado川に2つある大きなダム湖の1つ、Powell湖の畔の街。
また、街外れには、日本でも有名らしいAntelope Canyonがある。
国立公園ではないけれど、見所が多いエリアなので、一晩を挟んで一日をここで過ごすことにした。


まず、Powell湖を堰き止めるダム(Glen Canyonダム)に隣接するビジターセンターへ。
ダムは重要施設なので警備が厳重だと、『地球の歩き方』に書いてあったけど、特に何も警戒する様子はなかった。
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Powell湖は、元々はGrand Canyonみたいな地形だった場所を、ダムで堰き止めて人造湖にしたもの。
この湖周辺の立体地図から、元の地形が想像できるはず。
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Glen Canyonダムを正面から見下ろす。
ここはHooverダムと異なり、有料のツアーでないと堰堤の上には立てない。
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反対側、ダムから流れていくColorado川を見下ろす。
この流れがGrand Canyonを突き抜け、Mead湖とHooverダムへと続く。
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もう夕方で、日も傾いてきていたので、Pageの観光は明日に回す。
Powell湖の畔に建つLake Powell Resortが今夜の宿。
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部屋からは、こんな風にPowell湖を見渡せる。
ヨットハーバーがすぐ近くにあって、観光用のフェリーや個人所有のレジャーボートが停泊していた。
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部屋はこんな感じ。ベッドが少し高くて、上り下りに少し苦労した記憶がある。
これだけじゃなくて、後ろを振り向くと――
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コネクトルームというのか、もう1部屋のスペースがリビングとしてくっ付いていた。
明らかに、元は別の客室だったのだけど、客が少ないから2部屋を1つにしてしまったのだろうか。
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トレイル歩きとドライブの疲れで寝てしまう前に、早めに夕食にする。
ホテルのレストランにて。ここでも、スープとサラダから。
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メインは再び魚。(3日目は魚、4日目は肉だった。)
"Orange Glazed Shoyu Salmon"というので、照り焼き系ですかね。
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6日目の朝も、気持ちの良い天気で迎えた。湖畔の空気が気持ち良い。
宿の近くに点在する展望台から、Powell湖の景色を眺める。
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写真右上、湖の端にGlen Canyonダムと、ダムに平行する車道のアーチが見える。(ちょっと小さいか。)
普通は、湖の周辺というのは緑が豊かなものだけど、ここは元々荒野だったのを人造湖にしたので、妙に殺風景だ。
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Glen Canyonダムから流れ出した水は、Colorado川となって深い谷を刻む。
その中でも、Pageに近い有名な場所として、Horseshoe Bendと呼ばれる展望台がある。
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駐車場に車を停めて、谷に向かって10分程歩く。
本来は広い平原だった場所の一部が、穴が開いたように抉れているのが見える。
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谷を見下ろして写真を撮るため、観光客が崖のぎりぎりまで近付く。
ここには安全柵などなくて、どこまで入り込むかは自己責任。
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おっかなびっくり、身を乗り出して撮影したHorseshoe Bendの景色。
その名の通り、馬の蹄鉄のような形をしている(右側が上流)。
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Bright Angel Trailを長々と歩いた翌日にも関わらず、5日目もなかなかハードな旅になった。
これだけ長い距離を移動する旅だと、なかなか観光だけ、又は移動だけ、という日を作れない。
一人で運転するので、なかなか休み時間が取れないのも、厳しいところ。
こういう無理な旅も、三十台前半の今だから、出来ることなんだろうな。
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[海外旅行-05] USA - Las Vegas & Grand Circle その7

Grand Canyonに限らず、アメリカの国立公園のトレイルを歩いていて、気が付いたことがある。
それなりに登る体力や技術を要する道であっても、軽装備で臨んでいる人が少なくない。
自分も大抵はスニーカー、ジーパン、スウェットとウィンドブレーカーという軽装備で歩いているけれど、既に紹介したBright Angel Trailのようなところでさえ、Tシャツ、短パン、サンダルという格好の人を何度も見掛けた。

理由として考えられることは、いくつかある。
まず、トレイルを歩く者の大多数を占める白人は、日本人に比べて気温の変化に強いこと。
自分がウィンドブレーカーのチャックを一番上まで閉めるような寒さの中でも、連中は平気で半袖で歩いている。

次に、アメリカの国立公園のトレイルは、日本の登山道に比べて心理的な敷居が低いと思われること。
日本の登山道は、起点が既に結構な山奥にあることが多く、そこに着くこと自体が一種の冒険になる。
だから、(あまり大したことがない山でも)生半可な気構えで登り始める人は少ない。
対して、アメリカの国立公園は、車で気軽に入園できて、トレイルの起点へのアクセスも容易なことが多い。
そこからピクニック気分で、「ちょっと歩いてみよう」という乗りで歩く人が多いように思う。

(※長くなりそうなので、この話は次の記事に続く。)


Mather Pointで日の出を拝んだ後、Bright Angel Lodgeに戻る。
その途中、文字通り道草を食っている鹿の群れを見掛けた。国立公園では日常茶飯事。
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Bright Angel Breakfastというらしい。
アメリカらしいシンプルな食事で、5日目の活力を注入する。
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さて、ちょっと昨日の歩き疲れた筋肉痛はあるものの、今日はもう1つGrand Canyonの短めのトレイルを歩く。
昨日のBright Angel Trailと並び、もう一つ谷へ下りていく道であるSouth Kaibab Trailの入口へ、シャトルバスで移動。
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このトレイルも、South Rimの崖の上から始まって、Colorado川まで下りていく長い道。
ただ、終始谷筋を行くBright Angel Trailと違って、こちらは尾根筋も進むため、上の方でも割と眺めは良いらしい。
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最初の内は、昨日と同じような景色が続く。
こちらSouth Kaibab Trailは、初っ端からいきなり九十九折りを展開して一気に下り、ちょっと険しい道になっている。
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少し下ると、道は尾根筋に出て、日陰から日向になる。
景色は良くなるけれど、夏は暑くて厳しいだろうな。
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歩き始めてから30分くらいで、もうこのような景色が見えてくる。
だいぶ下りないと景色が開けないBright Angel Trailに比べると、確かにこっちの方が手軽に楽しめるトレイルなのかも。
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45分くらいで、Cedar Ridgeという少し広い場所に出る。
ここからの景色は視野が広くてなかなかのものということで、『地球の歩き方』もここまで下りるルートを推奨している。
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そのCedar Ridgeからの景色、これは下流の方を向いて一枚。
渓谷の中から両岸を見渡すこの角度は、South Rimの展望台からでは楽しめない。ここまで下りる価値はあるね。
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しばし景色を楽しんでから、これ以上は道を下らず、もう崖の上に戻る。
昨日Plateau Pointから後ろを振り返ったときの絶望感と違って、まぁこのくらいならさっさと登ろうという気になれる。
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先程も書いたように、Cedar Ridgeまで距離的に長くはないけれど、なかなか道は険しい。しかも、ちょっと荒れている。
やはりGrand Canyonのトレイルは、行きは良い良い帰りは怖い。
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登り道の景色は単調だし、昨日のBright Angel Trailとあまり変わらないので、写真も大幅に割愛する。
Cedar Ridgeから登り45分、歩き始めから約2時間で、トレイルの入口まで戻ってきた。
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Grand Canyonでの残りの時間は、South Rimの東側エリアを公園の東口へと車を進めつつ、展望台を巡っていく。
まずこれは、Grand View Pointから、Colorado川の下流の方を向いて撮影したもの。ちょっと谷が遠いかな。
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その先に、Tusayan遺跡という、昔この辺で暮らしていた先住民の集落の遺構がある。
色々な部族があり、Puebloと総括される。いずれ、この手のもっと本格的な遺跡を訪れたときの話も書きたい。
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併設されている小さな博物館に、民族の生活についての展示がある。
このNavajo族は、今でもこの地域に居留地(reservation)を持ち、現在もある程度彼ら独自の生活を続けている。
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さらに東へ。Lipan Pointという場所から、Colorado川の下流の方を眺める。
ここは、South Rimで最も対岸に近い場所らしい(それでも8kmくらいあるんだけど)。なので、谷も近く感じる。
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South Rimでは最も東にある見所、Desert Viewまでやってきた。
このそれっぽい展望台の塔は、先住民の建築様式を参考に、国立公園局が80年くらい前に建てたもの。
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内部の壁画のデザインも、なかなか凝っている。
まぁ、ここまで出来過ぎなくらい整えたら、誰だって造り物と気付くだろう。
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展望台から、Colorado川の上流の方を眺める。
カメラだと手前の丘が目立ってしまい、奥の方の綺麗な遠景が少々霞んでしまうのが残念。
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さらに右に振り向いて東の方、国立公園の外側へ視線を移す。
延々と荒野が広がる。これからあっちの方へ、何時間かドライブすることになる。
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最後の見所となるDesert Viewで、もう一度Grand Canyonの雄姿をを目に焼き付ける。
3日間(角度は違えど)同じ物を見ていると、流石に飽きそうだけど、このスケールの大きさは何度見ても圧倒される。
今後もう訪れることはないかも知れないこの絶景を、目と心に焼き付けて、Grand Canyon国立公園を後にする。

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[海外旅行-05] USA - Las Vegas & Grand Circle その6

アメリカの国立公園を訪れるときは、いつも、トレイルを歩くことを予定の中心に据える。
トレイルと一言で言っても、平地を歩くハイキングから、割と本格的な登山まで、色々と個性がある。
歩くことには少し自信があるので、少々厳しめのトレイルでも、価値があれば挑戦することにしている。

昔は、長い山歩きは好きじゃなかった。
高校生のとき、学校行事で丹沢にキャンプに行った際に、恥ずかしながら登山で両足を攣ってしまった。
それが軽いトラウマになって、その後は山を避けてきた。

それから10年近くが経って、仕事で札幌に住んでいた頃、友人達と利尻山に登ることになった。
凄く不安だったけれど、やってみると意外とすんなりと登り切ることができた。
それ以来、山歩きにも興味を持ち始めて、日帰りできる程度の登山を楽しむようになった。
アメリカに来てからも、景色の良さそうなトレイルがあれば、なるべく挑んでみたいと思っている。



Grand Canyon国立公園のBright Angel Trailを歩き、Indian Gardenまで下ってきた。
もう少し進んで、Colorado川が成す、大渓谷の中の小渓谷が見える場所まで行ってみることにする。
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Indian Gadenは水が湧くオアシスで、乾ききった場所というイメージの強いGrand Canyonの中では珍しく、こんな小川が流れていたりする。だから、この小川に沿って、Grand Canyonでは珍しく、高い木が生え、綺麗な花が咲く。
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Indian Gardenから、目指すColorado川(の崖の上)までは、平坦な道を30分ほど歩く。
何の変哲もない道だけれど、周りを大渓谷の両岸に囲まれたスケールの大きな景色は、なかなかの絶景だった。
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歩き始めて約2時間30分、ようやくColorado川に突き当たった。(10km近く歩き、900m以上を下った。)
右側のホットケーキを重ねたような岩場が、終点のPlateau Pointという展望台。
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Colorado川を下流に向けて見下ろす。
全体のスケールが大きいので分かりにくいけれど、川の水面とは依然400mもの標高差がある。
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反対側、Colorado川の上流の方を見渡す。
目線の高さより少し下で、地層の質が変わっているのが分かると思う。あれが大渓谷と小渓谷との境目。
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車でSouth Rimに来ただけでは見られない、より深い景色を味わいながら、30分くらいぼーっと過ごした。
少しずつお客さんも増えてきて、珍しく自分の記念写真を撮ってもらったりした。
それくらい、景色が良く、達成感のある場所だった。


さて、渓谷の真ん中に立って景色を楽しんだ後は、「上」に戻らなければならない。
これから、900mを登って、あの崖の上に帰る。うーん・・・。
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取り合えず、Indian Gardenまで戻ってきた。
この区間は平坦なので、帰り道も厳しくない。まだ大丈夫。
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本格的な登りを始める前に、持ってきたパンとバナナで昼食にする。
食べ物の匂いを嗅ぎつけて、リスがリュックの中身を狙って近付いてきた。やらないよ。
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Indian Gardenを出発してすぐ、ラバ(mule)の群れとすれ違った。
「おーい、道の端に避けてくれー!」「はーい。写真撮ってもいいですかー?」「OK!」って感じで撮らせてもらった。
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うんざりするジグザグの登りが始まった。黙々と、淡々と、延々と。
Grand Canyonのトレイルは、普通の登山と逆に、帰りが厳しい登りになっている。行きは良い良い、帰りは怖い。
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時間は昼時から午後へと移り、段々と気温も上がってくる。
汗が止まらず元気もなくなり、大して景色の変化もなかったので、帰り道の写真はあまり撮っていない。
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ようやくゴールが見えてきた。あの崖の上。
この写真を撮ったのが最後の折り返しで、あとは向こうの方へと真っ直ぐ登っていくだけ。
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最後に、登ってきた道を振り返る。
写真の真ん中、岬のように突き出た場所(細い道が途切れるところ)まで行ってきた訳だ。
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Bright Angel Trailの出発点、朝の分岐点に戻ってきた。
合計1時間くらいの休憩を含めて、今回は6時間30分くらいのトレイル歩きだった。
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シャワーを浴びてすっきりした後、まだ明るいけれど、早く寝たいので早々に夕食にする。
今夜もBright Angel Lodgeのレストランで、サラダとスープから。
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だいぶ歩いて消耗したので、メインは肉料理にした。
Garlic Crsuted Pork Loinという豚肉の料理、米のご飯と一緒で食べやすかった。
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部屋に戻ると、もう眠気に抗えず、おやすみなさい。
ちなみに、年を取ると筋肉痛が遅れてやってくると言うけれど、代わりに関節痛が早々と襲ってくる(苦笑)。


早く寝た分、翌朝も早く目が覚めた。
折角なので、Grand Canyonの夜明けを見に行く。朝6時のMather Point、結構人がいるな。
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東の空から、5日目の朝の太陽が昇ってきた。
今日も天気が良さそうだ。
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夕日を眺めたときと同様、傾いた陽光が成すグラデーションが美しいのだろうと考えた。
日の出から30分くらい、少しずつ明るくなっていく渓谷を眺め続けた。
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5日目も、Grand Canyonの散策がもう少し続く。
絵としてはあまり変化がないのだけど、この壮大な景色を眺められる機会を十二分に楽しみたいと思った。
筋肉痛で歩きにくかったけれど、この後の旅程は少し楽になるので、鞭打ってもうひと頑張り。

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